「996」シリーズの後編だ、今回は中国の若者へのプレッシャーがいかに大きいか、という観点で見て行ってみよう!

中国の若者の苦悩か

ある一面を切り取れば、中国の状況はもうほとんど日本の状況に追いついている。場合によっては追い越している。よって、抱える課題も同じ。では見ていこう!

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中国若者に対するプレッシャー

高い不動産価格

中国の不動産価格は異様に高い。少し古いデータですが、18年1月時点の上海の平均平米単価は900,029円です。この数値を、東京23区ランキングと比較すると、堂々第3位にランクインできる価格です。(1位:港区940,855円、2位:千代田区922,251円、3位:渋谷区865,127円)

さらにこのデータは上海全域の平均価格データであることに注意が必要!一等地と呼ばれている「内環内」の平均平米単価は驚きの、1,273,783円です。港区を軽く頭一つ分抜き去ります。誰が買えるの?

男女比の不均衡

これは特に男性へのプレッシャーです。国家統計局のデータによれば中国の総人口は、男性7億1351万に対し、女性6億8187万人と、約3,000万人も男性の方が多いのです。男女比は生物学的に見ても、男性が多く生まれるように出来ているそうですが(後世に残したい優秀な遺伝子を選択できるように)中国は分母が大きいため、差が3,000万(全年齢含む)にもなっています。

この現象が影響しているかは分かりませんが、女性が男性に求める結婚の条件には「①家を持っていること、②車を持っていること」が上位に上がります。家は、不動産価格のパートでも見ましたが、とても一般サラリーマンの給料だけで購入できるものではなく、一家2代、場合によっては3代でなんとか獲得していくものなのです。男性若者へのプレッシャーは、推して図るべきでしょう。

低い出生率

上記2点の(当然の?)帰結の一つとして、出生率は減少傾向にあります。1979年以来、37年間も続いた「一人っ子政策」は2016年にようやく廃止されましたが、出生率の抑止力にはなっていないようです。2018年は約70年ぶりの低い出生率、とロイター通信社が報じました。

たとえ結婚できたとしても、高い不動産に加えて、養育費などもあり、都市部では、一人以上育てるのは難しいと考えている家庭も少なくないようです。

このペースで進めば2027年には人口減に転ずる可能性があるといいます。

 

何だか、日本の状況にも似ているような気がしますね!!いやあ、世知辛い世の中ですなあ。それでは前回からの続き、996に苦しむ若者の生の声を3ケースご紹介しますよ!

996に実際に苦しむ若者ケース前編

CASE4 張さん:青春をすべて捧げた

氏名 張さん(女性・仮名)
年収 非公開
職種 WEBライター
一言 青春の時間と体力がもう限界に近いけど、でもまだ満足できない

私の業界は「996」というより、24時間7日間が定型フォーマットです。新卒1年目は、基本的に毎日深夜12時まで残業、週末もほぼ休みはなく、食事は毎日デリバリー注文です。新卒1年間で、体重は3.5キロも増えました。

ある時、重要なニュースを記事でまとめなければなりませんでした。2日連続で睡眠時間は3時間、終わった瞬間には気を失いました。その当時、お母さんが近くにいたので、辛くて泣いてしまいました。もう辞めていいと言われました。

でも私は頑張りたかったです。ライターという職業はそもそも工数がとてもかかる仕事です。世間は常に動いており、いつ大きな時間が起こるかは誰にも予測がつきません。でも起きたらすぐに対応しなければならないのです。ほとんど自分の時間はないですね。

まもなく私の青春の期日と体力が尽きてしまいそうですが、お腹いっぱいには程遠いです。

CASE5 林さん:自分の時間が少なすぎる

氏名 林さん(男性・仮名)
年収 非公開
職種 ネットPR会社

僕の職場は「996」ほどではないですが、やはり残業は多いですね。IT関連の業界はどこもそんな感じなのではないでしょうか。

特に僕たちようなのPR会社は、他部門・他社との連携/コミュニケーションが非常に肝要です。その結果、必然的に会議が多くなり、実作業に充てられる時間は、どんどん少なくなっていきます。そして残業で、帳尻を無理やり合わせていきます。

今の中国ネット社会で販売好調にするためには、話題性や口コミ、バズがとても重要です。その結果、固定時間で仕事をすることはできず、基本的にはいつでも仕事です。アンテナが高くなければなりません。また同時にシステム運営もしています。運営・企画・在庫・市場調査など、多岐にわたります。作業量も非常に多いです。

もう春ですね。Wechat(LINEの中国版)では皆、旅行や食事・レジャーの写真を載せていて、とても羨ましいです。僕は友達と食事に行く時間さえもない、家族と過ごす時間もないのです。

自分の時間が少なすぎると思います。毎日、家族が寝た後、少しだけネットサーフィンを楽しみます。結局、深夜までやってしまうので、翌日は睡眠不足で体力がなく、悪循環。大変な生活から抜けられていない状態です。

CASE6 陳さん:夜中1時にようやく帰宅

氏名 陳さん(男性・仮名)
年収 20万元(約332万円)
職種 某有名IT企業のエンジニア
一言 XXX

僕の勤める会社は、残業が多いことで有名です。

今また新たなプロジェクトにアサインされて、システム構築段階ですので、日々のKPI管理が非常に重要です。よって仕事は完全に出来高制で、その日の工程が完了すれば帰っていいですが、それは定時で決まるものではないのです。最近では、朝9時に出社し、家に帰れるのは夜中の12時というのが常態化しています。更に週に7日勤務です。全く「週末」という概念がありませんね。

徹夜も当然ありますね。一番つらかったのは、朝の9時から、翌日の夕方6時まで(=連続33時間)ぶっ通しで働いたことです。でも夕方家に戻って爆睡しましたが、翌日はまた普通に9時から出社です。私は1990年代生まれなので、年齢的にはまだ若いほうなので助かっています。今のところ何とか体力だけで乗り切れており、健康上の問題は出ていません。

僕は今、自分に別の小さな目標を立てています。英語を学ぶことです。めちゃくちゃ疲れている時を除いて、僕は毎日残業後に1時間ほど英語の勉強を続けています。自分の能力を高めることは何より大切です。いつ会社は僕を海外へエンジニア派遣するとも限りません。

こうした労働環境下においては、当然ながら自分の生活というものは一切ありません。両親とも週に1回テレビ電話ができるかできないか。後の時間は彼女を探すことに使います。

先月、僕はあるマッチングアプリをダウンロードしました。色々な女の子の写真が載っていて楽しいです。偶然にも二日前に、一人の僕とまったく同じ状況の女の子と出会いました。深夜1時に退社後に、彼女の仕事帰りを迎えに行きました。睡眠時間を削ってでも、少しずつ気持ちを育てています。これも一つの縁だと思います。未来がどうあれ、じっくり考えている余裕はありません。これでいいのです。

結局のところ、僕は会社の待遇にも満足しています。なので、今は必死になって働きます。

 

最後のCASE6の陳さんには春が来ているようで良かったですが、皆さん、多くのプレッシャーと戦っているのですね。中国の社会構造も日本以上に、今後深刻さを露呈していくかもしれません。私たちはお互い助け合えるような未来を創っていきたいものですね!