今回は中国で大人気のドラマ「都挺好」を紹介するよ!

中国ドラマかー!いいね!

これ知ってたらかなりの中国通だね!どんなドラマがヒットするのか、これは観点を変えると、今その国が抱える社会問題を表現しており、人々の心を掴んでいるのか、なんだよね!

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都挺好(ドウティンハオ)ドラマの概要

ストーリー概要

「都挺好」(ドウティンハオ)は、中国で著名なドラマ監督・簡川訸が監修し、人気女優の姚晨(ヤオ・チェン)主演,個性派俳優の倪大红(ニー・ダーホン)等が出演しています。

(※写真左:姚晨(ヤオ・チェン)右:倪大红(ニー・ダーホン))

キャリアウーマンとして成功した一家の長女が、男兄弟が二人いる複雑な家庭環境の中で、葛藤や心に傷を抱えながらも奮闘する、成長物語です。

家族構成と物語設定

■父 (蘇大強):ケチ・自己中・頑固者
■母 (趙美蘭):恐妻、一家の実権を握る。急遽死去して物語は始まる
■長男(蘇明哲):甘やかされて育ち、能力は低いも、自己評価は高い、海外在住
■次男(蘇明成):見栄っ張りのマザコン
■次女(蘇明玉):努力家で優秀、仕事で成功をおさめ、責任感も強い

中流家庭の蘇一家は、順調に行っているように見えましたが、母親が突然逝去したことで、事態は一変します。
一番の問題は、父親の世話を誰が引き受けるべきか?海外にいる長男、実家暮らしの次男、都会で暮らす長女。恐妻の圧力から解放された父親は、尊大にワガママになっていきます。

海外在住の長男は帰国し、責任を取ろうとしましたが、うまく折が合わずに、逆に奥さんとの関係が悪化してしまいました。実家暮らしの独立心のない次男は、まるで成長せず子供のまま、金持ちになることだけ夢見ていてまるで役に立ちません。小さい頃から二人の兄たちのエコひいきを受け、母の愛を知らない長女は、18歳で家を出たきり、家族とは関係を断絶していましたが、やはり実の親子なので、精一杯尽くし、苦難をいくつも解決していきます。

そうした過程で家族全員が理解・成長していくのは、家族として血のつながりはあるけれど、大切なのはお互いのコミュニケーションと理解なんだということ!!

爆人気の理由

豆瓣(ドウバン:中国の評価サイト/映画・ドラマ・本などメディア作品の多くを取り扱う)で、通常8.0以上が超ヒットとされる中、「8.3」という高得点を叩き出しました。人気の秘密は、多くの現代中国を取り巻く社会問題をうまく切り出した点にあります。これらがSNSで多く拡散され、話題を呼び、人気に火が付きました。

このドラマの主人公は長女。女性の視点でリアルに描かれます。子供のころの家庭状況、男尊女卑、「吸血親戚」と呼ばれる家族問題、親の介護などの社会問題。いまの中国で、特に話題にされているバズワードが満載なんですね!

語られる中国の「今」3つのキーワード

#1 男尊女卑

男尊女卑は、中国の社会にも存在するようです。現代化にともない、その色は薄れつつはあるものの、家庭事情によっては色濃く残っているところもいまだ多いようです。このドラマの家庭はまさにそんな環境。本作では母親にその傾向が強いです。

主人公の長女の実家も、小さいころから母親の愛情を受けられず、二人の兄がエコひいきばかり。冷たく扱われることばかり。そんな風に子供時代を過ごした彼女は、成人になった頃には男勝りの屈強な性格になっていました。よく周りからは冷淡だと誤解を受けるほどに。彼女はバリバリとキャリアを築き、仕事面で成功をおさめることで、これは自分の家庭環境からの「逃避行為」なんだということに気づきます。

エコひいきされ続け、恨みさえもした母親が急逝し、突如彼女はまた実家に戻ることとなり、そこで父と二人の兄からのハラスメントを受けます。しかし彼女は仕事で成功しており、今までの「弱い」「守られるべき」彼女のままではありません。複雑な家族ドラマが展開されます。

このドラマの展開が、多くの中国人女性の心を掴み、共感を得ました。女性軽視の経験は、誰もが多かれ少なかれ持っており、その悔しい思いは相当に大きいようです。男兄弟がいる家庭での女性は、家族の中でどれだけ頑張っても、どれだけ美しくいても、両親の関心を引き付けるのは男兄弟。そんな思いを丁寧に描きます。

#2 マザコン男(=吸血親戚)

次男坊は、社会に出てからもう何年になる「いい大人」ですが、まだ実家暮らしで、親に頼って生きています。まったく親離れができていません。

そんな彼は幼少時代から、母親からの愛を独り占め。妹をいじめて泣かせても、母親は無条件にお兄ちゃんの味方をしました。そうして彼は「理不尽」「自己中」な、立派な「マザコン男」に成長しました。独立せず、ずっと実家のお世話になり、稼ぎも少ないため、経済的にも負担をかけています。こういう家族を「吸血親戚」という風に中国では呼ばれるようです。

彼のエピソードにも中国全土から多くの共感を得ました。実は多くの家庭でこうした「吸血親戚」と呼ばれる存在がいるのです。これは一人っ子政策の代償かもしれません。わが子を愛するのは当然ですが、同時に、他を尊敬する心、独立心、自分の人生には自分で全て責任を持つことも、一緒に教える必要があるんですね!

#3 親の介護

今、中国のほぼ全ての家庭が抱く問題が、親の介護でしょう。両親ももう良い年齢。子供たちはもちろん親の世話をするの当然ですが、問題は誰がするのか、どのようにするのか、お金を出すだけでいいのか、実際に近くで支えるべきなのか?

ドラマでは恐妻の母親が突然亡くなって、頑固でケチなお父さんが暴君化していきます。

この親の介護という、非常に深刻な問題も、視聴者の心に響いたようです。

(引用元記事:https://mp.weixin.qq.com/s/6LW0_ardz27zhVbHVyyKSA)

リアルな家族ドラマ

このドラマで豊かに表現された、中国の社会問題は、多くの中国人の心を揺さぶりました。家族とはいったい何でしょうか。もしかしたら、皆さんのご家族も、本作の蘇一家のように、さまざまな問題を抱えているかもしれません。

しかし重要なことは、問題が起きたら、家族全員でそれに直面し、少しずつ解決していくことです。また家族問題の複雑さは、一人だけでは絶対に解決できない点もあるでしょう。しかも単に我慢や妥協、もしくは強硬に押し通すだけでは、決して問題は解決されないのです。

蘇一家の三兄弟にも、それぞれ心に傷があります。長男(蘇明哲)は自分の弱さと能力のなさに、直面する勇気を持っていません。次男(蘇明成)は自分の怠惰とどん欲さを認めようとしない。末っ子の長女(蘇明玉)は子供時代の二人の兄のエコひいきを受け、心に傷を持ちながら、屈強に成長した。

物語では、最後には全員が自分の弱い点に直視することに成功し、過去の傷が癒えていきます。その過程で視聴者からは「長女が勇気をもって過去の心の傷に直面し、彼女が憎んでいる感情にも直視することで、自らの傷を癒していく点に、本当に感動しました」という声が寄せられています。

子供は、一生の時間をかけて、親からの謝罪を待っているのかもしれない。親は、一生の時間をかけて、子供からの感謝を待っているのかもしれない。しかし残念ながら大部分の人は、それらを得ることができないまま、一生を終えてしまいます。人間の一生なんて、本当に短いんです。ただ待っているだけで、終えてしまうなんて悲しい。ちょっとの勇気と努力で、ちょっと行動してみるだけで、大きく状況が変わったりします。

最後に、中国の古いことわざを送ります。
「家和万事兴」(家族の関係がよくなれば、何でもうまくいく!!)

ドラマはその時代を映す鏡

いかがでしたでしょうか。本ドラマの概要をお読みいただき、皆さんはどのように感じられたでしょうか。私は「日本にずいぶん似ているな」というのが素直な感想でした。お隣中国も、私たちと同じようなことに悩み、日々葛藤を感じながら、生活をしているんですね!

タイトルにも書きましたが「人気ドラマ」とは、その時代を映す鏡です。今後も中国のトレンドを、本ブログは追っていきたいと思います!!