今回は、中国台湾の最新・社会派ドラマの紹介だ!テーマは「無差別殺人事件」

そういったテーマも扱うのね!

私も最初は少し意外だったよ。しかし社会全体のトレンドを映すのがドラマだ。今、中国の社会情勢の不安も日本のそれに似ている部分があるのかもしれない。無差別殺人事件に遭遇し、突如愛する我が息子を失った母親の葛藤を描くぞ!

我们与恶的距离

2019年3月24日開始、米HBO社と台湾公営TV合作の台湾ドラマです。全10話
ドラマタイトルの「我们与恶的距离」、直訳すると僕たちと悪の距離、となりますね。

テーマは無差別殺人事件。重たい社会派ドラマとなっています。

主演は台湾の人気女優、贾静雯(Alyssa Chia)さんです。無差別殺人事件の被害者の母親役を演じます。

テーマは無差別殺人事件

本ドラマのテーマは「無差別殺人事件(※特定のターゲットを設けず、偶然その場に居合わせた任意の人をターゲットとする殺人)」です。

ある日の映画館で悲劇が起こる

犯人は李晓明という学生です。ある日の映画館を銃で襲撃、9名を殺害・21名に傷害を負わせます。

その凶悪事件が起こった当日、贾静雯(Alyssa Chia)が演じる主人公の乔安は、我が子を連れて一緒に映画を観ていました。その途中で電話がかかってきたため席を外した瞬間、その事件が発生。

席に戻ると、最愛なる息子が無残な姿に変わっていました。事件の被害者となってしまったのです。

それから乔安は自分を許すことができなくなってしまいました。何故、あの瞬間、最愛の我が子のそばにいてあげられなかったのか、と。

仕事・家庭・人生が一変

もともとバリバリのキャリアウーマンで、社内でもマネージャー職についている非常にやり手です。息子を失った痛みを忘れるため、その痛みから逃げ出すために、更に仕事に没頭します。部下たちからすると完全に「暴君」と化してしまいます。

彼女は犯人への追憶で以下のように語ります。

“你是中文课都在睡觉还是怎么样?还是你是智障吗?对不起可以解决你脑袋的障碍吗…”

…あなたは学校の授業ではずっと居眠りしてたの?それとも何か精神に障害があるの?
あなたの抱える闇について、私はいったいどう向き合えばいいの?…

家庭崩壊

果ての無い苦しみの中で、家庭内でも不協和音が発生していきます。
彼女はもう二度と笑わなくなりました。
旦那さんとは毎日口喧嘩ばかりで、とうとう家を出て行ってしまいました。
娘は、ほかの愛情を渇望して、家にいる時間がなくなりました。

ある日、娘はお母さんに向かって、言います。

“我知道你不爱我,如果哥哥还在,你应该会比较开心吧”

お母さんが私を好きじゃないのは知っている。もしお兄ちゃんが生きていたら、お母さんは幸せだったのにね。

幼き娘は、母親のすべての愛情は、亡き兄へ注がれているものだと感じています。
そんな時、娘の口からは「お母さんもあの日、お兄ちゃんと一緒に死んでいれば、よかったのかもね」という何とも悲しい言葉が。。。

凶悪犯に最愛の息子を奪われた母親は、同時に娘も「失って」しまったのです。

加害者側の家族

もう一つのテーマは、加害者側の家族です。

被害者と加害者。
善と悪、愛と暴力。これらは実に紙一重の差であることを、私たちに教えてくれます。

平穏な日常が一変、地獄へ変わる

加害者の家族の生活は一変します。全てが激変し、後戻りはできません。
無差別殺人事件を起こした学生・李晓明の両親は、賠償金を支払うために、まずすべての家財を売り払いました。

世間の目もあるため、引っ越しも余儀なくなります。
もちろん、外出するときは常にマスクで顔を隠しながら、生きていかねばなりません。

李晓明(犯人)の妹さんは、経済ニュース専攻の特待生で、間もなく卒業を迎えるとても優秀な学生でした。
凶悪殺人犯の妹、というレッテルはもう変わりません。もうメディアには出られません。

弁護士・加害者の人権を守れ!

中国では凶悪犯はすぐに死刑が執行されます。
日本のように、長い年月をかけてじっくりと証明手続きなどは踏まれません。

その点に本事件の弁護士・王赦は加害者側の人権を強く主張します。十分な司法手続きを経て、合理的な保障を与えるべきだと。

誰にも理解されない主張

弁護士・王赦の妻子供は、彼の主張を理解できません。
被害者側の家族も、到底受け入れることはできません。
ドラマの描き方もあえて、視聴者にこの弁護士は、悪の弁護士のように描くことで、効果的に問題提起を与えています。

弁護士の回想

このドラマにより深淵なメッセージを与えるのが彼の存在です。弁護士の回想が物議を醸しだします。

“与其立即处死一个罪犯,不如好好了解这个人,是怎么一步步走向犯罪的。他们在想什么?”

…即死刑にすべき罪状であっても、被疑者をしっかりと理解すべきだ。何故、最終的に犯罪を犯すようになってしまったのかという今までの経緯や、彼らがいったい何を考えているのか、これを理解すべきなんだ…

“为什么家庭、学校、亲人、朋友、社会,没能接住他?”

…どうして彼の家庭や学校、家族に友達、そして社会は、誰一人として彼を受け入れない?…

“我们要如何改善、预防?我们能做的,难道只有继续让这样的事情发生?我们能做的,难道只有继续速速执行死刑?”

…では私たちは何を改善すべきなのか、こうした悲劇を未然に防ぐことはできるのか。きっとできるはずだ。こうした悲劇が起きて、さっさと死刑執行するだけでは足りない…

善は白、悪は黒と決めつけずに、その行間を読んでいく。弁護士の存在がこのドラマのテーマをまた深くしています。

 

本日の内容は以上です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!